受注率とは?計算方法から営業の成約率を上げる施策やツール活用事例をご紹介
営業活動の最終目標である「受注」に至るまでの道のりは、決して平坦ではありません。見込み顧客との出会いから始まり、ニーズの把握・提案・交渉、そしてようやく成約へと至ります。
この一連の流れの中で、どれだけの見込み顧客を受注に結び付けられたかを示す指標が「受注率(成約率)」です。
この記事では、受注率(成約率)とはなにか、基礎知識から計算方法、受注率が重要な理由まで徹底解説します。受注率を分析する方法や営業の成約率を高める施策についても紹介しますので、あわせてご参照ください。
受注率(成約率)とは
受注率とは、営業活動において、提案や商談を行った見込み顧客のうち、実際に契約に至った顧客の割合を示す指標です。「成約率」「CVR(Conversion Rate)」とも呼ばれます。
たとえば、100件の提案を行い、そのうち10件で受注に成功した場合、受注率の計算結果は10%です。
一般的に、「成約率」と「受注率」は同じ意味で使われます。どちらも、営業活動の効率性を測るうえで重要な指標です。受注率が高いほど、同じ数の提案や商談からより多くの売上を獲得できることを意味します。
つまり、受注率(成約率)は企業の売上や収益に直結する重要な指標であり、多くの企業で重要視されています。
受注率(成約率)の計算方法
受注率(成約率)の計算方法は以下の式で簡単に算出できます。
【件数における受注率】
・受注率(成約率)=(成約数/提案数)×100 |
たとえば、10件の成約があり、それまでに50件の提案を行ったケースの受注率を計算した結果は以下のとおりです。
・(10【成約数】/50【提案数】)×100 = 20%【受注率】 |
つまり、件数における受注率は20%となります。件数での受注率計算方法は、商談単価がほぼ一律の場合に有効で、シンプルでわかりやすく、個々の営業担当者パフォーマンスを比較しやすいのが魅力です。
「提案」をどこでカウントするかは企業によって異なりますが、見積もり提出やプレゼン実施など、成約に近い段階での営業活動をカウントするケースが多くなっています。
【金額における受注率】
・受注率(成約率)=(期末までに成約している商談金額/期初の商談金額)×100 |
たとえば、期初では1,000万円の商談だったにもかかわらず、期末では300万円しか成約していないケースの受注率を計算した結果は以下のとおりです。
・(300【成約済金額】/1000【期初の金額】)×100 = 30%【受注率】 |
つまり、金額における期初から期末にかけた受注率は30%となります。金額における受注率計算方法は、営業のパイプライン管理や売上予測に役立ち、商談単価がそれぞれ大きく異なる場合に、より正確な営業成績を反映しやすいのが魅力です。
そのため、同一商材を取り扱って担当者のパフォーマンスを比較する場合は件数による受注率、会社全体の売上目標達成度などを図る場合は金額による受注率がそれぞれ計算方法として適しています。
営業において成約率が重要な理由
受注率(成約率)は単に営業成績を表す数字ではありませんが、企業にとって非常に重要な計算です。成約率を分析すれば、営業活動の改善点や課題を明確化し、より効率的な営業戦略を立てられます。
具体的に、営業において受注率の計算が重要視される理由は以下の2点です。
・営業活動における個人の特性を見極める ・営業パフォーマンスを可視化・比較する |
営業活動における個人の特性を見極める
成約率を可視化すると、営業担当者個人の特性を見極めやすくなります。たとえば、特定の業界や顧客層に対して高い成約率を上げる担当者がいれば、その担当者の得意分野や営業スキルを分析することで、ほかの担当者への指導や研修に活かせます。
個人の適性に応じてマネジメントを行えば、人材育成や生産性向上につなげられるのもポイントです。また、個々の担当者の強みや弱みを把握することで、適切な役割分担やチーム編成を行えます。
受注率の計算によって個人の特性を見極めれば、適材適所のパフォーマンスを発揮させられるため、人材は変わらずとも営業力を高められるのが大きな魅力です。
営業パフォーマンスを可視化・比較する
成約率を算出し数値として可視化すれば、個人や営業チームとしてのパフォーマンスを客観的に評価できるようになります。目標値を設定し、現状とのギャップを分析することで、達成するための具体的なアクションプランを策定しやすくなるのもポイントです。
たとえば、前年同月比で成約率が低下している場合、原因を分析して「営業プロセスの改善」「提案内容の見直し」「顧客ターゲティングの変更」など、適切な改善策を検討できます。
また、それぞれの営業パフォーマンスをしっかりと可視化することで、個々の担当者を適切に評価しやすくなり、各々のモチベーションを高められるのも魅力です。スキルが適切に評価されるようになるため、仕事への意欲を引き出せます。
受注率(成約率)の分析方法について
受注率(成約率)をただ計算するだけでは、十分な効果を得られません。受注率の計算に合わせて、適切な分析をもとに営業活動の改善を実現する必要があります。ここでは、受注率の分析方法についてそれぞれ解説します。
・成約率が高い場合と低い場合の解釈 ・業界平均との比較 ・成約率に影響を与える要因 |
成約率が高い場合と低い場合の解釈
成約率が高い場合は、現状の営業方法が効果的である可能性が高いものの、慢心は禁物です。「なぜ受注率の計算結果が高いのか」を分析し、成功要因を特定すれば、さらに成約率を高めるための施策を検討できます。
たとえば、顧客との信頼関係構築を重視した営業スタイルが功を奏しているのか、提案内容の質の高さが評価されているのかなど、具体的な要因の分析で更なる改善につなげられます。
一方で、成約率が低い場合は、営業プロセスや提案内容、顧客とのコミュニケーション方法など、さまざまな要因を分析し、改善点を見つけなければなりません。
たとえば、顧客のニーズを的確に捉えられていない、提案内容が魅力的でない、競合他社に比べて価格競争力が低いなど、さまざまな原因が考えられます。商材自体がニッチな可能性もあるため、ターゲットの再選定を行う必要もあります。
業界平均との比較
自社の成約率を業界平均と比較することで、自社の営業力がどの程度のレベルにあるのかを客観的に評価できます。もし業界平均よりも低い場合は、競合他社の営業戦略を分析したり、業界のトレンドを把握したりするなど、さらなる改善努力が必要です。
業界(一例) | 営業における平均成約率 |
バイオテクノロジー業界 | 15% |
金融業界 | 19% |
ソフトウェア業界 | 22% |
出典元:hubspot「How Close Rates are Shifting in 2024」
一般的に、業界全体の営業成約率は20%ほどだとされています。ただし、業界によって大きく受注率平均の計算結果は異なるため、自社の業種に合った成約率をチェックする必要があります。
成約率に影響を与える要因
成約率は、さまざまな要因によって影響を受けます。社内要因としては、「営業担当者のスキルや経験」「商品・サービスの品質」「価格設定」「マーケティング戦略」などが挙げられます。
たとえば、ターゲティング広告などを経由してユーザーを集め、見込み顧客を育成しようとした場合、肝心のターゲットユーザー設定に誤りがあると成約率は大きく引き下がるのも事実です。
間口だけを広げても意味がないため、ターゲットとなるユーザーニーズをしっかりと見極め、品質の高いリードを獲得する必要があります。
また、市場環境や競合状況、顧客の購買意欲、経済状況なども成約率に影響を与えます。さまざまな要因を分析すれば、成約率向上のためより効果的な施策を立てられるのがポイントです。
上記のような市場環境や自社の状況を深堀りするには、MAツールやBIツール、CRMツールといったソフトウェアの活用をおすすめします。
営業の成約率を上げる4つの施策
成約率を向上させるためには、さまざまな施策を総合的に取り組む必要があります。ここでは、特に効果的な4つの施策をご紹介します。
・関係構築の重要性 ・提案の質を向上させる ・フォローアップの実践 ・データ分析の活用 |
関係構築の重要性
顧客との良好な関係構築は、成約率向上に欠かせません。顧客のニーズをしっかりと把握し、信頼関係を築くことで、顧客は安心して商品やサービスを購入できます。
顧客ニーズの把握方法としては、ヒアリングやアンケートの実施、顧客データの分析などが有効です。顧客とのコミュニケーションを密にすれば、潜在的なニーズや課題を掘り起こし、最適なサービスを提供できます。
また、効果的なプレゼンテーションを行って、顧客の購買意欲を高めることも重要です。プレゼン資料のデザインや構成、話し方などを工夫し、顧客に分かりやすく魅力的な提案を行うことで、成約率向上につなげられます。
提案の質を向上させる
顧客のニーズに合致した提案を行うことは、成約率向上に直結します。そのためには、顧客の課題や要望をしっかりとヒアリングし、ニーズに見合ったクオリティを提案する必要があります。
提案資料は、顧客にとって分かりやすく、興味を引くものである必要があります。見やすいレイアウトや簡潔な文章、効果的な図表などを活用し、顧客が理解しやすいように工夫しましょう。また、競合他社との差別化ポイントを明確に示すことも重要です。
さらに、プレゼン方法も重要です。自信を持って、熱意を持って提案することで、顧客に良い印象を与え、成約率を高められます。
フォローアップの実践
提案後、顧客からすぐに返答がない場合でも、諦めずにフォローアップを行うことが重要です。フォローアップを通じて、顧客の疑問を解消したり、不安を取り除いたりすれば、成約につながる可能性が高まります。
フォローアップのタイミングや方法は、顧客の状況や特性に合わせて適切に判断する必要があります。提案後すぐに電話で連絡を取ったり、数日後にメールを送信したり、定期的に訪問して状況を確認したりするなど、さまざまな方法を検討するのもポイントです。
なかには、顧客のフォローアップを自動的に行えるソフトウェアも登場しています。追いかけ(後追い)メールではただ購入を促すのではなく、信頼構築の場である点を踏まえたうえで、商談中の質問回答や関連資料添付なども行えるよう取り組むことが大切です。
データ分析の活用
過去の営業データや顧客データを分析すれば、成約率向上に繋がる貴重なデータを得られます。たとえば、「どの商品・サービスがどの顧客層に売れやすいか」「どの営業担当者が高い成約率を上げているのか」「どの営業プロセスで顧客が離脱しやすいか」などを分析すれば、より効果的な営業戦略を立てられます。
しかし、さまざまなデータを管理するのは容易ではありません。そこで、多くの企業では受注率計算だけでなく、CRMやSFAツールを活用して営業データ・顧客データを効率的に管理・分析しています。
営業担当者の業務負担を実現できるだけでなく、マーケティング施策にも有効活用できるため、データの蓄積・分析は重要です。受注率の計算にあわせて、さまざまなデータを蓄積する取り組みもあわせて推進するのをおすすめします。
営業の成約率(受注率)を改善できたツールの活用事例をご紹介
成約率を向上させるためにツールを利用した2つの活用事例をご紹介します。
・SFA/CRMとBIを導入して受注率50%増加 ・自社の営業スタイルに合わせてカスタマイズし、最適な管理体制を構築 |
SFA/CRMとBIを導入して受注率50%増加
「GENIEE SFA/CRM」と「GENIEE BI」を導入し、3年目で受注率約164%から約202%の導入効果が見込まれた松江リース株式会社様の事例をご紹介します。
課題
・予算に対する営業活動の進捗状況を把握できていなかった ・営業日報の二重入力が発生し、非効率だった ・データ分析のためにExcelでの編集作業が必要で手間がかかっていた |
解決方法
・「GENIEE SFA/CRM」を導入し、顧客情報と数値実績を紐づけて一元管理することで、進捗状況を可視化 ・営業日報の二重入力をなくし、業務を効率化 ・「GENIEE BI」を導入し、複数項目をまとめて分析できるようにすることで、高度な分析を可能に |
結果
・営業活動の可視化により、担当者の責任感が向上 ・顧客接点のための時間を増やすことができた ・目標達成度に基づいた営業活動の改善が可能になった ・「GENIEE SFA/CRM」導入から2年で受注率が約50%増加、導入から3年目で約164%から約202%が見込まれる |
詳細はこちらをご覧ください:松江リース株式会社様の導入事例を詳しく見る
自社の営業スタイルに合わせてカスタマイズし、最適な管理体制を構築
「GENIEE SFA/CRM」導入によって、部門横断で情報共有が可能な管理体制を構築できたAI CROSS株式会社様の事例をご紹介します。
課題
・リアルタイムの商談管理ができず、受注の取りこぼしが発生していた ・営業状況や売上額の把握が月末まで遅れていた ・商談スピードが早く、Excelでの管理が追いついていなかった |
解決方法
・「GENIEE SFA/CRM」を導入し、顧客情報と商談情報を一元管理 ・営業フェーズを自社の実態に合わせて細かく設定し、リアルタイムな進捗管理を実現 ・営業部門が入力・活用しやすいようにシステムをカスタマイズ |
結果
・組織的な営業力が高まり引き合いのある商談を漏れなく整理できるように ・商談の取りこぼしが減り、受注額が増加 ・商談状況をリアルタイムに把握できるようになり、迅速な対応が可能に ・経営層やマネジメント層も売上予測をリアルタイムに把握できるようになった |
詳細はこちらをご覧ください:AI CROSS株式会社様の導入事例を詳しく見る
まとめ
受注率は、企業の売上や成長に大きく影響する重要な指標です。受注率を向上させるためには、顧客との関係構築や提案の質向上、フォローアップの実践からデータ分析の活用など、さまざまな施策を総合的に取り組む必要があります。
とはいえ、データを分析するには顧客データを効率的に管理できる「CRM」が欠かせません。もし、会社の売上向上や営業部門のDX化に興味がある場合は、この機会に「GENIEE SFA/CRM」をご検討ください。
受注率計算に必要な商談管理機能が搭載されており、幅広い営業活動を効率化できます。豊富なカスタマイズで貴社独自の業務フローに合わせることも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。