営業のKPIとは?設定方法と活用のポイントを解説
営業活動で成果を出すためには、数値的な目標を立て、それに向かってどのように行動するかを考えなければなりません。その上で重要な指標となるのがKPIです。
KPIを適切に設定しておかないと、目標達成に向けて正しい行動がとれているのか、何を改善すべきかがわかりにくくなってしまいます。今回は、KPIの設定や活用方法のほか、KPIの例についてご紹介します。
KPIは中間目標としての指標のこと
KPIとはKey Performance Indicatorの略称で、「重要業績評価指標」などと訳されます。目標に対する達成度を表すものであり、営業以外の場面でも使われる指標です。
営業で考えた場合、最終的な目標が「売上高1,000万円」だとしたら、「達成のために月の提案数を5社増やす」「テレアポの件数を200件増やす」などが考えられます。
このようにKPIを設定すると、最終目標達成のために「いつ、どれくらい、どのような行動をとるべきか」が明確になります。営業活動の進捗状況を把握しやすく、目標と乖離があった場合は素早く改善することが可能です。
KPIとKGIとの違い
KPIとよく似たものに「KGI」があります。これはKey Goal Indicatorの略称で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。KGIはKPIと併用されることが多く、どちらも目標達成のために重要な指標です。
KPIが「最終目標を達成するために、どれほどの成果を上げられているか」を表すのに対し、KGIは「最終目標をどれほど達成できたか」を表します。
KPIは中間目標の達成度合いを表す指標で、KGIは最終目標の達成具合を表す指標と考えていいでしょう。
KPIとKFSとの違い
営業の目標管理において、KPI・KGIのほかによく聞くものに「KFS」があります。これは、Key Factor for Successの略称で、日本語では「重要成功要因」と訳されます。CSF(Critical Success Factor)と呼ばれることもありますが、同じ意味です。
KFSはKGIを達成するために実行すべきプロセスの中で、最も重要なプロセスを指します。KPIはKFSを数値化したものであり、三者の関係は下記のようになります。
<KGI・KFS・KPIの関係>
・KGI:達成すべき最終目標
・KFS:KGIに直結する重要なプロセス
・KPI:KFSを数値化した指標
KPIの設定方法
KPIを設定すれば、目標達成のためにどう行動すべきかが明確になり、適切な営業活動が行えているかがわかります。改善すべき点もわかりやすく、チームとして共通の指標を追って活動できるようになるでしょう。ここでは、KPIをどのように設定していけばいいのか、順を追って解説します。
1. KGIを設定する
KPIはあくまでも中間指標のため、まずはゴールとなるKGIを設定する必要があります。
営業の場合は、売上や営業利益になる場合が多いでしょう。経営目標を、部門や部署の目標として落とし込み、KGIを設定してください。
2. KGIを分解する
KGIを設定したら、次にKFSを意識しながらKGIを分解します。KGIが「売上1億円達成」なら、KFSは「顧客単価の増加」や「受注数の増加」などになるでしょう。販売価格が高く、1件あたりの利益が大きい商材なら、受注数を増やすことで売上アップが見込めます。
反対に1件あたりの利益が小さい商材なら、アップセルやクロスセルで顧客単価を高める方針のほうが有効かもしれません。いくつもあるKFSの中から、目標に対する影響が大きく、コントロールしやすいものを特定します。
3. KFSからKPIを設定する
KFSを特定したら、それを数値化します。例えば、KFSを「顧客単価の増加」と「受注数」と特定した場合、これらのKFSを高めるために、どのような行動をとるべきかが見えてくるでしょう。受注数を増やすなら、「商談数を増やす」「受注率を上げる」などがあり、顧客単価を高めるなら、「クロスセル・アップセル率を高める」などがあります。
これらの行動の成果を、達成可能性や期限を意識した上で、「受注率3%増加」「クロスセル・アップセル率5%増加」などと数値化し、KPIとして設定します。
KPIは1つではなくても構いませんが、あまりに多いと管理しきれません。管理することが目的とならないよう、多くても5つ程度にしましょう。多数あるKPIの中から、自社の商材や業務スタイルに合ったものを選んでください。
4. KPIツリーを作成する
KPIを設定したら、KPIツリーを作成します。KPIツリーはKGIを頂点に、その達成のために設定されたKPIとの関係を可視化したものです。必ず作らなければならないものではありませんが、KPIツリーを作成することで、KGIとKPIの関係がわかりやすく、達成のための思考や行動が一目瞭然になります。
KPIツリーの中でKPIを考えることで、施策がKGIにどういった影響をもたらすのかを効果検証でき、ボトルネックとなる課題が可視化できます。
営業でよく利用されるKPIの例
どのようなKPIを設定するかは、企業や部署のKGIによって変わってきます。ここでは、営業部門でよく使われる、代表的なKPIの例をご紹介します。
■営業で活用される主なKPI
KPI |
概要 |
営業案件数 |
営業担当者1人あたりが抱える案件数 |
営業行動件数 |
営業で行動を起こした数、荷電件数やメール件数、商談件数など |
新規リード獲得数 |
マーケティング施策によって獲得した新規のリード数 |
有望顧客数 |
新規リードに営業活動を行った結果、確度が高いと見なせる見込み客の数 |
有望顧客転換率 |
新規リードから有望顧客への転換率 |
見込み客の成約率(コンバージョン率) |
見込み客の中から受注に至った割合 |
顧客単価 |
顧客1人あたりの売上(新規と既存に分ける場合もある) |
受注期間(リードタイム) |
見込み客との接触から受注に至るまでの期間 |
解約件数 |
既存顧客の解約件数 |
クレーム数 |
既存顧客からのクレーム数 |
KPIは設定して終わりではなく、測定して改善に活かすことで、目標の達成に効果があります。営業案件数が達成できないメンバーがいれば、日々の活動を振り返って何がボトルネックなのかを見極め、適切に指導しなければなりません。
SFAやCRMといったツールも活用し、営業活動を記録して分析することで、KPIの進捗確認はもちろん、ボトルネックの発見や改善に役立てられるでしょう。
KPI設定時に意識したいSMART
KPIを設定する際に意識したいのが、「SMART(スマート)」です。これは、「Specific(具体的な)」「Measurable(計測可能な)」「Achievable(達成可能な)」「Relevant(関連した)」「Time-bound(期限を定めた)」の5つの単語の頭文字から取られました。
SMARTは目標設定を行う際に使われるフレームワークで、KPIの効果を高め、組織の最終目標の達成をより確実にするための方法です。設定したKPIの進捗確認のために使うこともできます。SMARTの5つの要素は下記のとおりです。
Specific(具体的な)
Specificは、設定する目標を具体的で明確なものにすることです。これによって誰もが同じ結果、共通の着地点を目指し、そのために行動できます。
Measurable(計測可能な)
MeasurableはSpecificに近いですが、設定する目標を計測可能なものに数値化することです。その上で定期的に測定し、その変化を追跡することで、目標達成に対する効果を正しくチェックすることができます。
Achievable(達成可能な)
目標を立てる際、現実からかけ離れた数値を設定しては意味がありませんし、反対に、たやすく実現できるものでも適切とはいえません。現状よりも高く、実現可能な目標設定が重要です。
チーム全員が合意でき、そこを目指すモチベーションを発揮できる目標設定が望ましいでしょう。
Relevant(関連した)
営業部門であれば、現場の営業担当者一人ひとりの目標の合計が、マネージャーの目標でもあります。そして部門全体の目標は、企業全体の目標値でもあります。
このような、個人的な数値目標と組織的数値目標の関連について、メンバーが理解できるようKPIを設定します。
Time-bound(期限を定めた)
どのような数値をKPIに設定するとしても、期限は必ず設けておかねばなりません。「いつまでに」という要素が欠けると、目標達成のための進捗を測る意味がなくなり、KPIの効力そのものが失われてしまいます。
KPIは設定後の測定と改善こそが重要
営業活動の成果を上げ、目標を達成するためにはKPIの設定が欠かせません。チームで負うべき指標が共有でき、効率的に目標達成を目指せるほか、日々の営業活動の課題の発見にも役立ちます。一度設定して終わりではなく定期的に測定し、営業組織の改善に役立ててください。
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