ブンデス無敗優勝"レバークーゼン"から学ぶ【強い営業組織】改革に欠かせない要素とは?
世界最高峰のリーグ「ブンデスリーガ」で起きた奇跡
スペインのラ・リーガ、イタリアのセリアAに並び世界最高峰のプロサッカーリーグの1つドイツのブンデスリーガである奇跡が起きた。
ブンデスリーガは欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、フランス)の1つ。リーグには歴代最多優勝を誇り、世界的有名選手を多数抱える名門クラブ「バイエルン」を筆頭に、「ドルトムント」や「フランクフルト」など日本でもなじみのある超名門強豪クラブがひしめき合う、世界的にも優勝が最も困難なリーグの1つとされている。
そのブンデスリーガ23/24シーズン、強豪クラブを次々と撃破し、ブンデス史上初の無敗優勝を成し遂げたチーム、それが「バイエル・レバークーゼン」である。
レバークーゼンの「強さの秘訣」とは?
レバークーゼンにはメッシやロナウドのような世界的な有名選手は誰一人として所属していない。
有名選手を多数抱えるバイエルンやドルトムントでも成し得なかった奇跡を彼らはなぜ実現することができたのだろうか?
レバークーゼンの強さには、4つのポイントと前年就任した新監督が取り組んだチーム作りの成果があった。
1,圧倒的な組織統率力
レバークーゼンの成功の背後には、シャビ・アロンソ監督の卓越した組織統率力がある。監督は選手一人一人の特性を最大限に引き出し、最適なポジションで活躍させることでチーム全体のパフォーマンスを向上させた。具体的には、選手のトレーニングメニューを個別にカスタマイズし、各選手が持つ強みを最大限に活かす戦術を採用するなど。このような取り組みにより、チーム全体が一丸となり、長いシーズンにおいて高いレベルでのパフォーマンスを維持することができたのである。
2,選手全員の戦術理解浸透度の高さ
レバークーゼンは、控え選手を含めた全メンバーが戦術を深く理解している点が強みとして挙げられる。各選手が自分の役割だけでなく、他のメンバーの動きやチーム全体の戦略を理解し、即座に適応する能力を持っている。このような戦術理解力が高いことにより、試合中の急な戦術変更や相手チームの戦略に対する迅速な対応が可能となっている。これが、レバークーゼンが強豪チーム相手にも劣らない競争力を発揮する要因の一つである。
3,パスの正確性とスピード(基本の徹底)
レバークーゼンの強さの秘訣の三つ目は、チーム全体で徹底されたパスの正確性とスピードである。サッカーにおいて、パスは攻撃の起点であり、ゲームの流れをコントロールする重要な要素だ。レバークーゼンでは、選手一人一人が高い技術を持ち、正確なパスを出すことが求められる。
練習の段階から基本のパス練習を徹底し、試合でも高い精度でパスを回すことで、相手ディフェンスを崩すことが可能となる。また、パススピードの向上にも力を入れており、素早くボールを動かすことで相手の守備陣形を乱し、攻撃のチャンスを創出している。
4,基本戦術を具現化する技術力の高さ(技術指導力)
レバークーゼンの強さの秘訣の四つ目は、1試合90分を通し、基本戦術を忠実に実行し続けられる高い技術力がベースにある。これは見落としがちであるが、特定の個人でなくチーム全員が戦術通りボールを動かし続ける事は実は相当困難且つ、全員に技術、体力、俯瞰視野が備わっていないと実現しない。
シーズンを通じて90分+α×34試合を戦い抜く必要があるブンデスリーガでは、安定したパフォーマンスを維持することが求められる。そのため、選手たちは日々のトレーニングで基礎技術を徹底的に磨き上げている。
これにより、試合中にどんな状況でも冷静かつ的確なプレーが可能となる。 例えば、ディフェンスラインの選手たちは相手の攻撃を的確に読み取り、確実なタックルやインターセプトを行う技術を持っている。
また、ミッドフィルダーは試合のテンポをコントロールしながら、攻守両面での役割を果たすための高いボールキープ力と視野の広さを備えている。
フォワードは、瞬時にゴール前のチャンスを見極め、正確なシュートを放つ能力を有している。
以上4つのポイントが強さの背景にあった。更に前年就任したシャビ・アロンソ監督による独特な
チーム編成にも強さの秘訣が隠されていた。
ブンデスリーガのような世界的トップリーグで勝てるチームを作るためには、有名なトップ選手を海外から獲得し、個人技で局面を打開する戦術が有効であろうし、それができれば越したことはない。しかし世界的にも有名なトップ選手の移籍金は今や数百億円規模に膨れ上がり、バルセロナやパリ・サンジェルマン、バイエルンやレアル・マドリードのような資金の潤沢な超ビッグクラブでもない限り、不可能な選択肢となる。
また、有名選手に依存したチーム戦術は、移籍や怪我で離脱した際に一切機能しなくなる。
カップ戦のような短期トーナメントでは有効かもしれないが、長期に渡るリーグ戦で勝ち点を積み上げるにはリスクも大きい。
特に強豪ひしめくトップリーグでの怪我のリスクは高く、世界的なトップ選手を抱えれば抱えるほど国際Aマッチのため自国代表選手としてチームからの長期離脱を余儀なくされるのは明白である。
つまり、年間30試合以上を戦い抜くリーグ戦で優勝を成し得るにはトップ選出への依存や同じメンバー構成で勝ち点を積み上げることは極めて困難である。
一方、シャビ・アロンソ監督のレバークーゼンは、有名選出に依存したチーム戦術を採用せず、先に将来有望な年俸の高い選手をビッグクラブに売却し、売却で得た資金で、控え選出も含めて、シャビ・アロンソ監督が作り上げた戦術に合致した選手だけを寄せ集め構成した。
強い営業組織とレバークーゼンとの共通点とは?
「強い(営業)組織」改革の前提条件
レバークーゼンのシーズンを通した強さを分析した結果、「強い営業組織」の定義との共通点がいくつか浮かび上がった。
企業経営における「強い営業組織」を定義する上で前提として欠かせないのが、
短期(期間限定)の強さではなく、
「持続的成長を続けられる強い営業組織」
でなければならないという点である。
企業経営においては、有名選出の個人技に依存したチーム構成、つまり限られたトップセールス営業マンの経験やスキルだけに依存した組織編成ではなく、営業組織(チーム)として通期で成果を上げ続けられる、
持続的成長の可能な営業組織を構成する必要がある。
そのためには、組織に属する営業マン全員がチーム戦略を徹底的に理解し、組織で統一された共通のルール、戦略、戦術を熟知し、理解したうえで体現することで「組織として勝利する」ことが最優先で求められる。
そうすることで、経験や人脈、スキルに依存した属人営業ではなく、やるべき基本事項が徹底的に仕組み化され、その基本を徹底することで、万が一メンバーが急に入れ替わったとしても、勝てる組織「強い営業組織」が形成される。
シャビ・アロンソから学ぶ「強い組織」に導く「優れたマネジャー」像とは?
レバークーゼンを持続的成長が可能なチームに育成し、統率したのは紛れもなくシャビ・アロンソ(監督)である。彼は優れた監督であると同時に優れたマネジャーであることは誰もが認める事実である。
彼はシーズンを通してチーム戦術を徹底して貫き通し、勝利を積み上げていった。
ある意味、彼が行った戦術、チーム育成、技術指導の勝利とも言えるが、彼が行ったマネジメント手法を事例としてビジネスにおける営業組織強化にも活かすことができるのではないだろうか。
レバークーゼンは誰が試合に出ても強い
レバークーゼンが1年に渡る長いリーグ戦を無敗で勝ち続けられたのも、怪我で途中離脱する選手が出た間、代わりに出場した選手が同じようにチームとして守るべき基本戦術を体現した結果、同じ戦い方ができたことで勝ち点を積み上げることができた。
レバークーゼンのブンデスリーガでの無敗優勝は、個ではなく組織としての強さを引き出せたチームが世界的なトップリーグでも結果を残すことができるという事実を証明した最たる例といえよう。
それは企業経営における組織改革でも同様のことが言えるのではないだろうか。
営業組織では年齢や営業としての経験年数は様々である。ベテラン営業マンだけで組織される営業組織も珍しいだろう。
ベテランと若手社員が混在した営業組織であったとしても、誰が異動したり、退職したとして入れ替わったとしても組織としての強さ、売上は大きくは変わらず、持続的に成果を上げ続けることができる。
それが「強い営業組織」であり、そういったメンバー構成でも持続的に強さを維持し続けられるのが「優秀なマネジャー」であるといえるのではないだろうか。
トップ選手だけで構成された営業組織を維持する事など夢のまた夢であり固定費がいくらあっても足りないのである。
シンプルな戦い方を貫くために必要なこと
23/24シーズンのレバークーゼンの戦い方は至ってシンプルであった。
レバークーゼンには選手個人個人を見てもメッシやロナウドのような際立った有名選手は誰一人として見当たらない。
しかし、控えも入れた登録選手全員がチームとしてやろうとしていること、厳守すべきこと、徹底しなければならないこと、つまり戦略、戦術を徹底的に理解し頭に刷り込んだ上で自然とプレーで体現できている点は世界のどのトップチームにも劣らない。
また試合における選出全員の動きやボールと相手の位置における距離間、配置(ポジショニング)を徹底的に分析し、次の試合に活かすデータ活用戦略と選出全員への浸透度の高さはリーグ随一である。
それは特に守備の面に多く見られている。コンパクトに守るために選手間の距離をどのように保つのか、相手によってどのエリアを特にケアして守る必要があるのか、どのエリアまで相手にボールをもたせ、どこでどう刈り取るのか、守備から攻撃に出たときのDFの立ち位置はどこが最適なのか等々局面毎に細かく設定されている。
選出個人としても自身の動き方は当然ながら、周りのチームメイトの動きに対しても客観的且つ俯瞰的な視野を持ってチーム全体に影響を与えている点も特筆すべき点であろう。
データに裏付けされた徹底した型の理解と浸透が選手全員の行動にあらわれている。
営業組織改革ではデータ活用有無が成否を分ける
営業組織も同様に商談進捗状況や結果を徹底的にデータ化し可視化することで営業における「勝てる型」「勝ちパターン」「勝利の方程式」が明確化するはずである。
その上でこのパターンならこういった切り返しや攻め方、こういった場面ではこの手法という成功モデルを「営業の型」として営業マン全員に浸透させて組織として体現することが勝つために重要なファクターとなる。
つまり、データ(ファクト)を積み上げ、成功パターン(型)を作り、戦術に落とし込み、営業マン全員に理解、浸透させ、徹底、体現できる組織を構築し、維持し続けられる管理者が優秀なマネジャーと言えるのではないだろうか。
レバークーゼンではベンチ含めたチーム登録選出全員が戦術を理解し、何をすべきかを共通理解として持っていた。
控えメンバーを含めた選手全選手がフィールド内の選手に対して守備へのハードワークを呼び掛け、試合中にオフェンシブな選手がちょっとでも足を止めて自陣に戻る動きをさぼったものなら、コーチングゾーンに飛び出し烈火のごとく怒鳴る。
特に疲労が動きにも現れ、体力が落ちる後半終盤戦でその効果は明らかに違いが出る。
それまで選手それぞれがバラバラのイメージで動いているようだったが、見違えるように互いの動きを意識しながら、サポートし合う動きが活発化する。
優秀な営業組織やマネジャーが実践する営業データの蓄積、活用方法
強い営業組織では定性情報を意見として用いるのではなく、定量データをファクトとして用いてロジカルに会議や評価が行われている。
勝てる営業組織として日本でも有数の企業であるキーエンスやリクルートでは営業活動データの活用はあたりまえのように日々行われていると言われている。
そういった有数の強い、勝ち続けられる営業組織を形成するには何が必要か?
それは日々の営業活動を「営業マンの負荷なく」データとして蓄積し「一元管理」した上で、課題を「リアルタイムに可視化」できるツールを活用することに尽きる。
個人のスキルや経験に依存した成果を求めるのではなく、組織としての集合知としての強さを実現するツール、それがGENIEE SFA/ CRMのようなSFAツールである。
ここではSFAツールについて詳しい説明は行わないこととするが、強い営業組織構築の第一歩となるSFAについて社内でも一度議論してみてはどうだろうか。
SFAを有効活用し、勝てる営業組織を形成するヒントにしていただけたら幸いである。