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CAC(顧客獲得単価)とは?計算方法やLTVとの関係を解説

更新日:2024.02.19 / ビジネス戦略
CAC(顧客獲得単価)とは?計算方法やLTVとの関係を解説

CACとは、顧客1人または1社を獲得するまでにかかったコストがどれほどかを算出した数値です。新規顧客の獲得にはコストがかかりますが、どのくらいなら収益が確保されるのでしょうか。CACを算出することで、営業やマーケティングの活動が適正なのか、測ることが可能です。

本記事では、CACの意味やCPAとの違いのほか、計算方法やLTVとの関係、改善方法などについて解説します。

 

CACとは顧客獲得単価のこと

 

CACはCustomer Acquisition Costの略で、日本語では「顧客獲得単価」と訳されます。顧客1人、もしくは1社を獲得するためにかかったコストを指し、広告出稿費やセミナー運営費、ウェブサイト制作費などのほか、営業部門の活動費や人件費なども含まれます。

 

CACは、営業活動の効果測定のために利用される指標です。CACが高い場合は、顧客1人・1社から得る費用より、獲得のコストのほうが高いことを指し、新規顧客を獲得しても損失が発生することになります。営業活動として適正とはいえず、見直しが必要です。

反対に、CACが低すぎる場合は、もっと顧客を獲得できる余地があるのに、そこに対して投資できていない可能性があり、やはり営業活動の見直しが必要になるでしょう。

 

CACとCPAの違い

 

CACと混同されやすい用語として「CPA」があります。CPAはCost Per Actionの略で、こちらも「顧客獲得単価」と訳されますが、CACとは範囲が違います。

CACは事業や部門、プロジェクト単位の費用を指すのに対し、CPAは施策単位の費用です。CPAはあるマーケティング施策において顧客1人・1社、または資料ダウンロードや問い合わせといったCV(コンバージョン)を1件獲得するためにかかったコストを表す際に利用されます。

 

CACを把握するメリット

 

CACを把握することには、2つのメリットがあります。ひとつは、費用対効果の高い新規顧客獲得チャネルがわかるということです。どのチャネルに投資すべきかがわかるため、費用の配分がしやすくなるでしょう。

もうひとつのメリットは、LTVの目標値が決められることです。収益を上げるためには、LTVがCACを上回っていなければなりません。CACを算出することで、1人・1社あたりの顧客からどれだけ収益を上げるべきかという目標値がわかります。

 

CACの種類と計算方法

CAC(顧客獲得単価)とは?計算方法やLTVとの関係を解説_1

顧客の獲得チャネルはさまざまで、直接的な営業活動で獲得できたとは限らず、自然に流入して受注に至る場合もあります。正確に営業活動の成果を測るには、こうした自然流入と区別してCACを算出することが必要です。そのため、CACは3つの種類があり、計算式も異なります。

 

Organic CAC

 

Organic CACは、検索エンジンやSNS、口コミ、既存顧客の紹介など、自然に獲得できた顧客の獲得コストを表します。自然増の顧客に費やした総費用は、ウェブサイトやSNSを運用する費用のほか、SEO、LPOの対策費用などが含まれるでしょう。

顧客は必ずしも直接的な営業活動で獲得するとは限らないため、CACを算出するときはOrganic CACを把握することも重要です。Organic CACは、下記の計算式で求められます。

 

<Organic CACの計算式>

Organic CAC=自然増の顧客に費やした総費用÷自然増チャネルからの新規顧客獲得数

 

Paid CAC

 

Paid CACは、広告出稿やセミナー、キャンペーンなど、意図的な有料チャネルで顧客を獲得した際にかかったコストのことです。ウェブサイトやSNSの運用などを外部委託している場合の費用は、Paid CACに含まれるでしょう。

Paid CACを算出することで、一定期間に行った施策の顧客獲得効果を測ることができます。Paid CACは、下記の計算式で求められます。

 

<Paid CACの計算式>

Paid CAC=有料の顧客獲得チャネルに費やした総費用÷有料チャネルからの新規顧客獲得数

 

Blended CAC

 

Blended CACとは、Organic CACとPaid CACを合わせたコストを指し、一般的にCACといえばBlended CACのことを指します。

Organic CACとPaid CACを分けて考えることで、どの施策が顧客獲得に貢献したかが明確になり、その後の予算配分や戦略策定に役立つでしょう。「顧客数は増加しているのに赤字」などという場合は、CACを分解して考え、「Organic CACを増やす戦略」「Paid CACを減らす戦略」の2つを検討することが有効です。

 

<Blended CACの計算式>

Blended CAC=顧客獲得のためにかかった総費用÷新規顧客獲得数

 

 

CACと深く関係するLTVとは、Life Time Valueの略で、「顧客生涯価値」と訳されます。LTVは顧客1人もしくは1社が、企業と取引を開始してから終了するまでに、どれだけの利益をもたらすかを表す数値です。LTVよりCACの数値が高い場合、前述のように顧客獲得コストのほうが高いことになり、営業活動として健全とはいえません。

 

一般的にLTVは、「顧客の平均単価÷チャーンレート(解約率)」で計算できます。そして、「LTV÷CAC」を計算すると、顧客1人・1社あたりの収益性、つまりユニットエコノミクスがわかるのです。

ユニットエコノミクスが1以上なら黒字、1以下なら赤字ということになり、一般的に3以上が望ましいとされています。ユニットエコノミクスは消費やサービスの適正な価格を定めたり、利益率向上の施策に活かしたりできるため、サブスクリプション型ビジネスの重要指標といえるでしょう。

 

ユニットエコノミクスは3以上が望ましい理由

 

ユニットエコノミクスは3以上が望ましいとされる理由は、CACの回収期間を含めて考えるとわかりやすいかもしれません。

ビジネスとして一般的に、投資費用(顧客獲得にかかった費用)の回収期間は12ヵ月以内、チャーンレート(解約率)は3%未満が良いとされています。CACの回収期間は「CAC÷顧客の平均単価」で求められるため、CACは「顧客の平均単価×CAC回収期間」と変換できます。

 

これを、ユニットエコノミクスを求める「LTV÷CAC」にあてはめると、「(顧客の平均単価÷チャーンレート)÷(顧客の平均単価×CAC回収期間)」となり、変換すると「1÷(チャーンレート×CAC回収期間)」です。

LTV÷CACが3だった場合、チャーンレートは1÷(0.03×12)=2.777%となり、ビジネスとして望ましい状態であることがわかります。

ビジネスモデルによっては、必ずしも3以上が望ましいとは限らない場合もありますが、まずはこれを目安として営業活動を行うといいでしょう。

 

CACの改善方法

CAC(顧客獲得単価)とは?計算方法やLTVとの関係を解説_2 

ユニットエコノミクスが3以下ならCACが高すぎることになり、改善が望ましい状態です。CACを改善するにはどのような方法をとるべきなのか、詳しく見ていきましょう。

 

ターゲットを明確にする

 

ターゲットが間違っていれば顧客を獲得しにくく、CACは上がるでしょう。また、ターゲットに合っていないチャネルを利用していても、CACは上がるばかりです。

年齢、職業、家族構成などの属性や、企業の業種、規模などターゲット象を絞り込み、その課題やニーズを把握しましょう。そうすることでターゲットに対して実施すべき営業活動がわかりやすくなり、CACの改善につながります。

 

投資するチャネルを絞り込む

 

CACを下げるためには、顧客獲得チャネルを適正化する必要があります。Paid CACを算出し、現在展開している有料の施策の中で、どれが効果的なのかを見極めて絞り込むといいでしょう。

また、ウェブサイトやSNS運用の見直しを行い、Organic CACを改善していくことも有効です。

 

LTVの最大化を目指す

 

CACを下げるには、LTVを改善して最大化することが有効です。LTVの最大化のためにはさまざまな方法がありますが、まずはアップセルやクロスセルが挙げられます。顧客あたりの売上を増加できれば、自ずとLTVは高まるでしょう。チャーンレート(解約率)を下げることでも、LTVは向上できます。

また、既存顧客との関係値を深め、顧客ロイヤルティを高めることでもCACは下げられます。

 

SFAやCRMの活用

 

CACを改善するには、SFAやCRMなどの活用も手段のひとつです。顧客情報の管理、有望な見込顧客の抽出や育成の作業は煩雑で、手作業で進めては多くの工数がかかり、ミスも発生しやすくなります。

SFAやCRMなどのツールを活用することで、そういった作業が効率化でき、他部署との連携もとりやすくなるでしょう。営業活動が効率化でき、コスト削減につながります。

 

CACを改善して利益を最大化しよう

 

CACは顧客獲得単価を指し、営業活動が適正かどうかを評価するための重要な指標となります。CACが高ければ、顧客獲得にコストをかけすぎていることになり、低すぎればもっと顧客を獲得できる余地があるかもしれません。CACを把握し、営業活動の適正化に役立てましょう。

 

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