ホワイトペーパーってなに?期待できる効果や基本的な作成手順を解説
ホワイトペーパーは見込み顧客の獲得に効果的とされています。しかし、マーケティングの現場でよく聞く言葉であるものの、どのようなものかわからないという人も多いでしょう。そこで本記事は、まずホワイトペーパーの定義や種類などの概要を説明し、続いて活用メリットや基本的な作成手順、注意点など実践的な知識を解説します。見込み顧客の獲得に伸び悩んでいる際は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
そもそもホワイトペーパーってどのようなもの?
「ホワイトペーパー」とは、Webマーケティング用語のひとつで、簡単にいうと、自社商品やサービスに関連するお役立ち情報をまとめた文書です。具体的には、商品のサービス概要や機能・スペックをまとめた商品カタログ、市場や業界情報をまとめたレポート、自社商品・サービスの導入事例集などが挙げられます。これらのホワイトペーパーはオンライン上でPDF文書で提供し、顧客情報と引き換えに無料でダウンロードできるようにするのが一般的です。
ホワイトペーパーは元々、政府や公的機関などの調査、報告内容を発行する「白書」を指していました。現在はWebマーケティング用語として使われるケースが多いですが、元々は別の意味で使われていたことを知っておくとよいでしょう。また、ホワイトペーパーとサービス資料も混同しがちな用語ですが、作成目的と配布対象が違います。ホワイトペーパーは、顧客の課題解決につながるような参考情報を提供するのが主目的です。したがって、顧客の課題や問題に合わせて、有益な参考情報を提供します。ホワイトペーパーは必ずしも売り上げに直結することを目的にしないため、配布対象となるのは潜在顧客から顕在層、既存顧客まで幅広いのが特徴です。一方、サービス資料は、自社商品・サービスのメリットや強みをアピールするために作成されます。したがって、営業が接触できる顕在層が主な配布対象です。
ホワイトペーパーの代表的な3タイプ
ホワイトペーパーの種類は、大きく分けると「課題解決型」「事例紹介型」「レポート型」の3つです。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
課題解決型
課題解決型のホワイトペーパーとは、見込み顧客の課題や問題を解決できる情報を紹介する資料です。一般的に課題解決型のホワイトペーパーは「問題提起→解決策の提示→自社商品・サービスの紹介」という3部構成にします。ホワイトペーパーのなかで最も活用されているといわれているのが、この課題解決型です。課題解決型のホワイトペーパーは、まだ自社の商品・サービスを認知していない潜在顧客を主な配布対象とします。
潜在顧客に対しては、いきなり営業をかけて商品を売り込むのは簡単ではありません。そもそも接点がない場合も多いでしょう。そこで、潜在顧客の悩みやニーズに寄り添う形で具体的なシチュエーションを紹介したのち、解決策を示していくホワイトペーパーを配布するのが効果的です。自社のサービスや製品に関心を抱いてもらえれば、営業に引き継ぐ見込み顧客となってもらうことができます。つまり、課題解決型のホワイトペーパーは、新規顧客獲得の入り口となる役割を持った資料です。
事例紹介型
事例紹介型は、自社商品・サービスを実際に購入した顧客の事例を紹介するホワイトペーパーです。一般的には、「顧客が持っていた課題や問題の紹介→導入した商品・サービスの内容→得られた成果、今後の展望」といった3部構成で作成されます。既存の顧客に対するインタビューを元に、自社商品導入によって得られたベネフィットを写真や図表などを用いて解説するのが特徴です。これによって、顧客は自社の場合はどのような効果をもたらすのか、具体的にシミュレーションできるようになります。したがって、事例紹介型のホワイトペーパーの配布対象は、ある程度ニーズが明らかになっている顕在層が中心です。言い換えれば、売り上げにつながりそうな、見込み度の高い顧客向けの資料といえるでしょう。
レポート型
レポート型のホワイトペーパーとは、政府関連団体や業界団体などから発行されている調査レポートや業界動向を要約して紹介した資料です。また、他のデータソースに頼らず、自社で市場調査をしたり、消費者からアンケートを集計したりしてレポートを作成する場合もあります。レポート型のホワイトペーパーは「データソースの紹介→データの引用やグラフ、表の掲載→自社の見解の提示→自社商品・サービスの簡単な紹介」のような流れで構成するのが一般的です。
レポート型のホワイトペーパーは幅広いターゲット層を配布対象にできます。現時点では明確な課題を感じていなかったり、自社の存在を認知していなかったりする潜在顧客に配布するのも効果的です。これらの潜在顧客に対しては、「専門的な知見を持っている会社だ」「解決策を提案してもらえそうだ」などと思ってもらえるため、認知度向上やブランディングの効果を期待できます。また、レポート型のホワイトペーパーは顕在層や既存顧客に対しても有効です。レポート型のホワイトペーパーは顧客の情報収集や分析に役立つため、有益な情報を配信すれば、信頼性向上や良好な関係の構築などが期待できるでしょう。
ホワイトペーパー作成によって期待できる効果
ホワイトペーパーの主目的は顧客情報の獲得ですが、ほかにも見込み顧客育成や既存顧客との関係強化などの目的を達成可能です。ホワイトペーパー作成によって得られる効果、メリットを詳しく解説します。
顧客情報の獲得
ホワイトペーパーの作成目的は、ほとんどの場合、顧客情報の獲得です。顧客の勤務先や企業名、役職、電話番号、メールアドレスなどの情報と引き換えに、役立つ資料を提供します。ホワイトペーパーを作成し無料で提供するのは、商品認知から購入・契約までに長く、複雑なプロセスを必要とするビジネスにおいては、顧客情報の獲得が重要であるためです。獲得した顧客リストを元に、メール配信やDM送付などのプッシュ型マーケティングにつなげられるのは大きなメリットといえるでしょう。
こうした顧客情報の獲得を目的とするケースでは、ホワイトペーパーの掲載場所を他社メディアに広げるのもひとつの方法です。自社運営のメディアやメールマガジンの運営においては、まず読者数を増やす必要がありますが、この手間を省けます。また、獲得したいターゲットとマッチしたメディアを選ぶことで、質の高い顧客情報を効率的に獲得する可能性を高めることができるのもメリットです。
見込み顧客の育成
ホワイトペーパーは顧客情報の獲得だけでなく、見込み顧客の育成にも活用できます。ホワイトペーパーの情報を通じて、自社サービスへの関心を高められるからです。例えば、業界の専門知識やノウハウが詰まったホワイトペーパーを、メールマガジン登録者に配信する手法があります。有益な情報に触れるにつれて、自社に相談しようと思ってもらう可能性が高まるでしょう。また、セミナーや展示会でホワイトペーパーを配布するのもよい方法です。伝えたい情報をホワイトペーパーにまとめて渡しておけば、後日再び、顧客の関心を引くことができます。
見込み顧客育成のためのホワイトペーパーでは、情報のクオリティーが重要です。つまり、ホワイトペーパーによって今まで少し興味があっただけの顧客を、具体的な導入検討をするレベルまで引き上げられるクオリティーが求められます。もしも内容が薄かったり、信頼性がなかったりすれば、かえってブランドイメージが損なわれてしまうでしょう。メールマガジンやセミナーなどのコンテンツと同じかそれ以上に、ホワイトペーパーにこだわる必要があります。
既存顧客との関係強化
ホワイトペーパーは既存顧客との関係強化にも効果があります。既存顧客にとって、他社の成功事例を紹介する事例紹介型のホワイトペーパーや、市場・業界情報などをまとめたレポート型ホワイトペーパーなどは有益な情報であるためです。例えば、ノウハウが足りておらず困っている顧客に対しては、新機能に関する活用法や新しく判明したトラブル対処法をまとめた情報が喜ばれます。また、業界の最新動向や調査レポートは、情報収集、分析のニーズを持っている企業担当者の助けとなるでしょう。
関係強化のためのホワイトペーパーにおいても、情報のクオリティーが大切です。有益な情報であるほど、顧客は商品・サービスに対する理解が深まり、困ったときはフォローしてもらえるという安心感を持ちます。また、知見を広げたり、課題解決についてのアイデアを得られたりする場合もあるでしょう。結果として顧客満足度が向上し、顧客と良好な関係を築けます。
ホワイトペーパーの基本的な作成手順
ホワイトペーパーの基本的な作成手順は「ターゲットの選定」「テーマや目的の決定」「全体構成の作成」「ライティング・デザインの実施」の4ステップです。手順に沿って作業内容とポイントを解説します。
ターゲットの選定
ホワイトペーパーを作成する際に最初にすることは、ターゲット設定です。どのようなニーズを持っているのか、知識や経験をどの程度持っているかなど、ターゲット像を明確にしておきます。ターゲット像が明確でないと、内容の軸が定まりません。また、扱う情報の深さや、専門用語・業界用語を使って問題ないかなどの細部も決まらなくなってしまいます。ターゲット設定はホワイトペーパー作成の前提となる条件ですので、はじめにしっかり決めておきましょう。
ターゲット像は業界、企業規模、担当業務などの基本属性に加えて、具体的なニーズや課題のレベルまで想定します。例えば、DX推進のためのITツールを提供しているなら、「DX推進の重要性はわかっているが、自社にIT人材がいない」「対面業務をなくして、ビジネスモデルを変革したい」などのようにニーズや課題まで推測しておきましょう。こうした具体的なターゲット設定によって、見込み顧客の心に刺さるホワイトペーパーを作成できるようになります。
では、見込み顧客のニーズや課題はどうやって明らかにしたらよいのでしょうか。有効な方法は営業部門やサポート部門、技術部門など、社内の各部門へのヒアリングです。特に営業部門は顧客と直接接していますので、顧客からの要望、ネックになっていることなどの貴重なデータを持っています。ただ、理想的には毎回ヒアリングせずとも、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)などのITツールによって、顧客情報が一元的に情報共有されていることが望ましいでしょう。これらのITツールは情報共有に優れているうえ、分析機能も備えているため、ターゲットの心理・行動パターンを把握しやすくなります。
テーマや目的の決定
ホワイトペーパーのターゲットが決まったら、テーマや目的を検討します。テーマとは、顧客が関心を持つ話題です。自社が一方的に伝えたいことをテーマにするのではなく、ターゲットにとって読む価値があるテーマかどうかを重視して検討しましょう。ターゲット層にありがちな課題や問題をヒントに、顧客目線で悩みやニーズを深堀りしていくと、有意義なテーマがみえてきます。反対にテーマが顧客ニーズとずれてしまうと、いくら工数をかけて制作しても、費用対効果に見合わない恐れがあるため、慎重に検討しておきましょう。
次に目的について。これはホワイトペーパーを通じて得たい自社の成果です。例えば、「購買に直結するような質の高いリード獲得を目指す」「有益な情報を提供して、多くの見込み顧客と接点を持つ」などが挙げられます。目的を決めておかないと、ホワイトペーパーの成果測定もできなくなるため、なるべく具体的に設定しておくとよいでしょう。先に挙げた目的例ならば、リード獲得数やホワイトペーパーのダウンロード数などの定量的な指標で、目標・ゴールを設定しておきます。
全体構成の作成
ターゲット、テーマ、目的の3つがそろった時点で、すぐにホワイトペーパーの制作に入りたくなるかもしれません。しかし、その前に全体構成を練ることが欠かせません。ホワイトペーパーの構成で重要なのは、ターゲットが知りたい情報を盛り込みながら、ホワイトペーパーを読んだ後にターゲットがアクションを起こせる流れを考えることです。そのためには、ホワイトペーパーのタイプを決め、その標準的な構成に沿って全体構成を考えるのが効率的といえます。例えば、課題解決型を選んだ際は「問題提起→課題の解決策の提示→自社商品・サービスの紹介」という3部構成が基本です。この構成を元に、自社テーマ・目的にあった内容を練っていけば、自然と行動喚起につながる構成となるでしょう。
全体構成の作成手順の基本は、テーマを元にタイトルを決め、そのテーマを伝えるための情報と順序を整理したうえで見出しを作成する流れとなります。タイトルはターゲットの興味をそそりつつ、読むことで得られるメリットがわかりやすい内容を心がけましょう。例えば、「BtoBマーケター注目!Webメディアへのアクセス数を増やすアイデア7選」というタイトルは、誰に向けて何を書いているかが、タイトルを読んだだけで把握できます。同様に各見出しについても、見出しを拾い読みしただけで全体の流れと内容が推測できるように工夫しましょう。さらに、見出し内に記述する内容の骨子も決めておきます。
ライティング・デザインの実施
全体構成が決まったら、いよいよホワイトペーパーのライティング、デザインに移ります。本文は関係者にヒアリングした内容やインターネットの情報などを元に、見出し、および骨子に沿った内容で執筆していきましょう。ライティングでは読者の興味を引く文章にすることも大切ですが、それ以前に正確性と信頼性を担保しなければなりません。文書校正やデータソースの確認、論理展開に飛躍がないかのチェックなどの基本をしっかり押さえておきましょう。
ホワイトペーパーのデザインでは、わかりやすさが重要です。記事コンテンツのようにテキストだけで展開するのではなく、イラストや図表を積極的に使いましょう。現在はホワイトペーパー内に説明動画を埋め込んだ、リッチコンテンツ形式も増えています。ただし、イラストや図表が間に挟まってテキストが読みにくくなっては本末転倒です。イラストや図表の適切な配置や、テキスト量とのバランスなども考えながら、読みやすいレイアウトを心がけましょう。
ホワイトペーパー作成の際に意識したいポイント
ホワイトペーパー作成の際に注意しておきたいのは、「広告感を前面に出さない」「専門用語を多用しない」「ボリュームを多くしすぎない」「入力フォームを煩雑にしない」の4点が挙げられます。1つ目の「広告感を前面に出さない」というのは、ホワイトペーパーは広告やサービス資料と違い、顧客にとって有益な情報でなければならないからです。最終的に自社商品を勧めるにしても、押し売り感が出過ぎないように注意する必要があります。あくまでも顧客の課題解決のためにホワイトペーパーを作成しているスタンスを保ちましょう。2つ目の「専門用語を多用しない」は、無意識にしてしまいがちなミスといえます。専門的な知見を持った自社担当者なら当たり前の言葉でも、読者にとってはそうとは限りません。特に幅広い見込み顧客が配布対象の場合は、できるだけ専門用語や業界用語は控え、どうしても使わなければならない場合は説明を加えます。
3つ目の「ボリュームを多くしすぎない」のも重要なポイントです。目安としては潜在顧客がターゲットであれば、手軽に読める5~7ページくらいに抑えます。一方、顕在層や既存顧客であれば、詳しい情報を求めている可能性が高いため、8ページ以上のボリュームでもかまいません。4つ目の「入力フォームの煩雑にしない」は、ダウンロード直前での離脱を防ぐためです。あまりに多くの入力項目を用意してしまうと、記入が面倒になってしまったり、個人情報の流出が心配になったりして、離脱する人が増える傾向にあります。取り急ぎ多くの顧客情報を集めたいのであれば、「会社名」「部署名」「名前」「メールアドレス」など必要最低限の入力項目に絞るのもよいアプローチです。
質のよいホワイトペーパーを作成して効率的な見込み顧客獲得を
ホワイトペーパーは顧客にとって有益な情報と引き換えに顧客情報を得られる手法です。基本を押さえれば比較的短期間で作れることもあり、取り組みのハードルは決して高くありません。しかし、質の悪いホワイトペーパーを作成してしまうと、十分な効果を得られない恐れもあります。質のよいホワイトペーパーを作成するには顧客情報の正確な把握と分析が必須です。ジーニーが提供するGENIEE SFA/CRM(無料トライアル)をぜひお試しください。