CRM(顧客管理)と名刺管理ツールの違いは?機能とメリットを解説
近年、多くの企業で導入されているCRM。一方、名刺管理ツールもCRMの比較対象として頻繁に挙げられます。こちらでは、CRMと名刺管理ツールの機能や違いについて解説します。
CRMとは?基本からメリット・デメリットや導入の流れ、効果的な活用方法を紹介
【2022年最新版】CRMシステムおすすめ12種類を徹底比較!価格・機能を比較して顧客管理ツールを選ぼう
CRMの機能とメリット
CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字をとった言葉であり、日本語では「顧客関係管理」を意味します。また、「顧客関係管理の取り組みを実現するためのシステム」という意味も一般的です。
CRMの導入には、どういったメリットがあるのでしょうか。以下では、CRMの代表的な機能とそれぞれの機能のメリットについて解説します。
CRMとは?基本からメリット・デメリットや導入の流れ、効果的な活用方法を紹介
CRMシステムはどんな機能をしている?基本の機能を徹底的に解説!
顧客情報管理機能
CRMの根幹といえるのが、顧客情報を管理する機能です。例として、顧客の社名や所在地、メールアドレスなどの基本情報を登録しておくことができます。また、対象の顧客に実施したアプローチや問い合わせの対応内容など、コミュニケーションの履歴も登録可能です。
システム上に情報を集約できることから、顧客情報の管理が効率的になります。また、コミュニケーション履歴などの細かな情報は、Excelなどによる顧客情報管理では困難です。きめ細かな顧客情報管理を実現できる点は、CRMの大きな魅力といえます。
「顧客情報を正しく管理できていますか?」管理方法を見直して売上UPを目指すコツ
顧客情報分析
登録している顧客情報を分析し、有益な情報を引き出す機能も多くのCRMに搭載されています。特定の商品を購入している顧客層、購入頻度、購買の傾向といった情報を、顧客情報の分析から知ることができます。このような分析によって得た情報は、マーケティング戦略に活用するのが一般的です。
例として、分析の結果で特定の時期に商品が購入されていることがわかれば、その時期に合わせて重点的にメール配信で訴求すると成約率の向上が期待できます。このように、顧客情報の分析
結果はマーケティングの実施において仮説を立てる際に役立ちます。
顧客分析を徹底して売上UP!?分析のコツとツールの活用法について紹介!
メール・広告配信の自動化機能
CRMによって、メール配信や広告配信を自動化できます。登録されている顧客のメールアドレスに対して、条件を設定して自動でメールを配信することが可能です。
例として、セミナーやイベント参加後に送るフォローメールや商品購入後に配信するサンキューメールなどが挙げられます。こうしたメールを手作業で送ろうとすると、営業担当者にとっては大きな負担になるでしょう。CRMであれば、条件を設定するだけで配信できるため効率的といえます。
また、顧客の属性や購買傾向に応じてメール・広告の内容を変えられるため、膨大な顧客に対してOne to Oneマーケティングを実施するためには事実上必須のツールだと考えられています。
CRMを活用したメールマーケティング!メルマガ配信の流れや活用例を紹介
営業活動をサポートする機能
SFA(営業支援システム)の機能を統合したCRMも少なくありません。SFAは営業活動をサポートするシステムであり、効率的で無駄のない営業活動を実現するために役立ちます。
SFA(営業支援システム)とは?基本概要やCRMとの違い、事例から学ぶ活用法を徹底解説
SFAの代表的な機能は、営業活動の進捗管理機能や日報の管理機能です。各営業担当の負担が軽減されるほか、マネージャーの管理コストも減ります。CRMの情報を統合することで、チャネルを意識させないシームレスな顧客対応を実現可能です。CRMで見込み顧客を育成し、営業担当に引き渡して成約に結びつけるという流れが一般的になっています。
SFA/CRM×MA連携で営業強化!SFA・CRM・MAの違いから丁寧に解説
名刺管理ツールの機能とメリット
名刺管理ツールとは、その名称の通りビジネス上で受け取る名刺を管理するためのツールです。従来はバインダーなどで物理的に保管していた名刺を、データで管理できます。近年は、インターネット上のサーバーにデータをアップロードするクラウド型の名刺管理ツールが一般的です。以下では、名刺管理システムの代表的な機能とそれぞれのメリットについてお話しします。
名刺の取り込み機能
名刺管理ツールでは、紙で発行された名刺の情報を取り込み、データとして管理できます。データ化するためには、まずスキャンが必要です。OCR機能が搭載されたスキャナであれば、名刺の記載情報がテキストデータとして変換されます。
紙での名刺管理から解放される点は大きなメリットです。多くの名刺を保持している方ほど、名刺管理ツール導入による恩恵は大きいといえます。
検索機能
名刺管理ツールでは、名刺の情報がデータで登録されているため、任意のワードでの検索が可能です。任意の会社名や担当社名を入力するだけで名刺を見つけられます。
紙の名刺を管理している場合は、目的の1枚を探すのは大変な手間になります。また、ルールに基づいて名刺の順番を変えたり、入れておくバインダーを変えたりする作業も負担になりがちです。名刺管理ツールを導入すればこうした手間がなくなり、効率的な名刺管理が可能になります。
モバイルデバイスへの対応
スマホやタブレットなど、モバイルデバイスに対応している名刺管理ツールもあります。
もらった名刺をすぐにカメラでスキャンし、ツール上にアップロードできるため、情報登録が効率的です。オフィスにもどってバインダーに名刺を入れたり、パソコンで情報を入力したりする手間は発生しません。
また、スマホから登録情報を確認できる点も大きなメリットです。出先で急に取引先の情報を調べなければならなくなった場合も対応可能です。
CRMと名刺管理ツールの違いとは
CRMと名刺管理ツールには具体的にどういった違いがあるのでしょうか。以下では、「システム導入の目的」「管理対象」の2点から、CRMと名刺管理ツールの違いについて解説します。
システム導入の目的
CRMと名刺管理ツールはシステム導入の目的が大きく異なります。
CRM導入の主たる目的のひとつが、顧客満足度を向上させることです。詳細な顧客情報の管理機能やメール配信機能はすべて、顧客との良好な関係性を構築しエンゲージメントを高めるために利用されます。
もうひとつの目的は、成約率・売上の向上です。良好な関係性を構築し、見込み度を向上させた顧客は、営業担当へと優先的に引き渡されます。確度の高い見込み顧客へのアプローチのみに営業担当のリソースを避けるため、効率的な営業活動を実現可能です。営業の進捗遅れ、想定している販売目標の未達成などの問題を見つけることで、営業担当に適切な解決策を指示できます。
名刺管理ツールは、名刺の管理を効率化するため、ペーパーレス化を実現するためのツールです。また、個人で蓄積される傾向がある名刺を、会社の資産となる情報として残す目的もあります。
管理対象
CRMと名刺管理ツールでは、取り込んで管理するデータにも違いがあります。
営業部門でCRMを活用する場合、管理するのは主に顧客に対して個別に実施している営業活動の情報です。顧客ごとにコミュニケーションのデータを蓄積しておき、必要に応じて問題点の把握やマニュアルの作成に利用します。
一方、コンタクトセンターでは、電話やメールなどで顧客から問い合わせがあった内容を蓄積します。データが十分に蓄積されると、ナレッジやFAQの作成に活用可能です。実際の問い合わせに基づいた資料のため、顧客対応の短縮に役立てられます。
名刺管理ツールで管理するのは、会社名、部署名、担当者名、会社の所在地、電話番号、メールアドレスといった情報です。社員単位、支社単位で保持している情報をツールに集約できるため、休眠顧客の発掘などにも活用できます。
【2022年最新版】CRMシステムおすすめ12種類を徹底比較!価格・機能を比較して顧客管理ツールを選ぼう
まとめ
CRMと名刺管理ツールの違いについて紹介しました。CRMは顧客情報を一元管理し、さらに顧客との関係性構築につなげるためのツールです。一方、名刺管理ツールは名刺情報の管理に特化しています。自社にとってどちらが適しているのか判断し、適切なツールを導入しましょう。