部下を育成するための目標設定の仕方とマネージャーの役割
「親はなくとも子は育つ」とは言いますが、企業は人材が勝手に育っていくのを、ただ待っている訳にはいきません。一日も早く主戦力になってもらうには「効率的な部下の育成」が必要です。今回は、チームの地力を上げ、個人のスキルを伸ばしていくために、マネージャーが採るべき部下の育成方法について考えてみましょう。
チームとメンバーのベクトルを合わせる
営業チームの営業力は、個々のメンバーの力の合算です。ですから、理論上では、それぞれの力が同じ方向を向いていると、チームの実力を最大限に高めることができます。ですが、ここにずれが生じると、全体の力が分散されて、弱まることになりかねません。現実では、そこまで理屈どおりにはなりませんが、メンバー間での意識のずれがあると、チームの総合力に影響を与えることは確かです。
このずれは、自然と修正されていくものではありません。放置しておくと、メンバーの意識はどんどん乖離してしまいます。やがて、チーム全体の営業力が頭打ちになり、メンバーも自身とチームとの意識のずれに悩んだあげく、「会社を辞めます」という最悪な事態にもつながってしまいます。
このような事態を防ぐため、マネージャーは頻繁に部下と面談するべきです。多くの企業では、査定に関する面談は半期に1回ですが、これだけでは頻度が低すぎます。月に1回、できれば2週間に1回くらいのペースで、1対1でじっくり話し合い、個々のメンバーの「意識のベクトル」を知り、もしもチームとのずれがあれば、こまめに修正していくのです。
「自分に役立つ仕事」と理解する
営業チームにとって、月ごとの目標値は達成すべきミッションですが、それを単に上から下に押しつけるだけでは、部下は「やらされている」という感覚しか沸いてきません。
ですが、そのミッションを達成すること、さらに、そのミッションを達成するために手掛けるさまざまな作業が、将来の自分のために役立つということが理解できれば、それは「上から押し付けられた仕事」ではなく「将来の自分にプラスになる仕事」になります。
つまり、会社というチームとメンバー個人のベクトルが合うのです。
そのためにはまず、部下の話を聞くことです。3年後、5年後、10年後にどうなっていたいのか。長期的な部下自身の目標を、マネージャーがきちんと受け止めます。次に、今与えられているミッションを高いクオリティでクリアすることで、目指している目標に着実に進んでいけるのだということを、マネージャーが部下に示します。
日々の業務が単なるノルマではなく、数年後の自分のために役立つのだとわかれば、クライアントを説得する言葉にも力が入り、一つひとつの行動に魂がこもります。自社の商材を自信を持ってアピールできますし、最終的には結果となって表れてくるのです。
必要なのはオーダーメイドのマネジメント
営業チームのメンバーは、それこそ十人十色です。目標に対する意識も「達成するのが当たり前だ」という人もいれば、そうした意識が薄い人もいるでしょう。また、「長期的な自分の目標」といわれても、それを明確に答えられる人もいれば、そうでない人もいるはずです。
ですからマネージャーは、個々のメンバーに合わせた、オーダーメイドのマネジメントを行う必要があります。
若いメンバーは「5年後にどうなっていたいか?」という質問に対して、「○○さんのようなビジネスパーソンになりたい」と漠然と答える人もいるでしょうし、「5年後にはこの業界で起業する」といった明確な目標を答える人もいるでしょう。
いずれの場合も、マネージャーがやるべきことは、それぞれの部下の目標に達するために必要な要素を分解し、日々の業務に落とし込むことです。
例えば、「○○さんのようなビジネスパーソンになりたい」と答えた部下が目指す「○○さんの特徴」は何でしょうか。人脈でしょうか、交渉力でしょうか。それは、どのように作られるものでしょう?そして、今の環境でそれを身に付けるとしたら、日々の業務の中で、どう行動すればいいでしょうか?
5年後に起業するためには、まずマネジメントを身に付ける必要があります。その経験をいつ、どのように積めばいいでしょう?現在の業務の中で、それを身に付けるにはどう動けばいいでしょうか?
個々の部下の目標を実現するための要素を細かく分解し、毎日の業務に落とし込んでいく。それもマネージャーの重要な役割です。
以下のコラムでは、部下の営業活動の管理に役立つ「SFA」について詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
定性的な目標は、定量化してゴールを設定する
部下の目標を実現させるため、要素を細かく分解し、毎日の業務に落とし込む作業は、マネージャーの経験が浅いうちは、なかなか難しいものです。ですが、遠い目標を細かく分解していくと、目の前の課題として具体化することができます。
それは、定性的な目標でも同じです。
例えば、部下が「3年後には、プレゼンがうまくできるようになりたい」という漠然とした目標を持っているとしましょう。こうした場合には、「プレゼンがうまい」とはどういうことなのかを定義付けして、「上場企業に対して商品プレゼンを行い、2社以上の受注をもらう」というような、定量化された具体的なゴール地点を設定するのです。あとは、そこに至る道筋を分解していき「プレゼンの手法をいつ、どのように学ぶのか」「上場企業とのパイプを、どうやって作るのか」という、具体的な方法を導き出していきます。
定量的な目標を設定したら、それに対しマネージャーも定量的な評価をする必要があります。評価を具体的に示すことで、部下は次の目標を設定しやすくなります。
漠然とした目標は具体的な形に設定しなおし、そこにつながる道筋を示していく。若手の部下にとっては難しいことなので、マネージャーがしっかりマネジメントし、育成していきましょう。
部下の成長はマネージャー次第
部下を育成するには、定量的な目標を設定させ、密なコミュニケーションを取りながらチームのベクトルと合わせていくことが必要です。
部下の育成はマネージャーのマネジメント力にかかっています。チームのプロジェクト成功のためにも、部下の育成に力を入れて優秀なメンバーを育ててください。
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