不動産業界の現状と課題とは?生存戦略や今後の拡大が見込まれる分野を徹底解説

不動産業界は社会経済の動向に大きく影響を受けており、常に変化し続けています。少子高齢化や空き家問題、DX化の遅延など多くの課題に直面しており、現状から今後の見通しに頭を悩ませている方もいるかもしれません。
生存戦略を含めて今後の見通しを立てるには、現状分析から課題を発見し、新たなビジネスチャンスに繋げる取り組みが重要です。
この記事では、不動産業界の現状と課題を解説したうえで、持続的に成長するうえで欠かせない戦略を解説します。成長が期待される不動産業界の分野についても触れていますので、あわせてご参照ください。
本記事では、以下の内容について解説します。
・現状の不動産業界が直面している課題と背景 ・変化する市場環境における不動産業界の生存戦略 ・今後の成長が期待される不動産業界の分野 |
不動産業界の現状とは

不動産業界は社会経済の動向に大きな関わりがあり、新型コロナウイルス感染症の影響や、若年層世代の減少など、社会構造の変化によって状況が大きく変化しています。ここでは、不動産業界の現状について、以下のポイントを解説します。
・不動産業界の市場規模は回復基調に向かっている ・新築住宅の着工数が回復傾向 ・不動産市場の二極化が進行中 |
不動産業界の市場規模は回復基調に向かっている
総務省統計局の「サービス産業動向調査2024年(令和6年)12月分及び10~12月期(速報)」によると、2024年の不動産業における「産業別月間売上高」「事業従事者数」はどちらも前年同月比で増加傾向にあります。
2013年から不動産業界は着々と成長していたものの、2019年をピークに新型コロナウイルスによる影響を大きく受けました。その結果市場規模は縮小してしまい、苦しい思いをしていた不動産業者も少なくないようです。
しかし、オリンピック後の刺激などもあり2022年には市場成長が回復基調に転じています。2025年もまた市場が回復していくと見込まれています。
2013年~2019年:不動産業界は順調に成長 2020年~2021年:新型コロナウイルスの影響で市場規模が縮小 2022年~:回復基調に転換。コロナ禍の沈静化が要因 2023年~:持続的に回復しつつある |
新築住宅の着工数は減少傾向
国土交通省のデータによると、新築住宅の着工数は2014年以降、増加傾向にありました。2018年には合計95万3,000戸が着工されています。これは、政府の金融緩和政策による住宅ローン金利の低下が影響していると考えられます。
しかし、近年では新築住宅の着工数は減少傾向にあるのも事実です。国土交通省が発表している「令和6年度住宅経済関連データ」によると、令和6年(2024年)の新設住宅着工戸数は前年比3.4%減の79万2098戸となり、2年連続で減少しました。
持家が前年比2.8%減で3年連続の減少、貸家が0.5%減で2年連続の減少、分譲住宅が8.5%減で2年連続の減少となっています。
減少傾向の背景には、建設コストの上昇やインフレ、地価の上昇だけでなく、金利が上昇した面も背景にあると考えられます。このように、新築住宅の着工数が減少傾向にあるのも、不動産業界が抱えている課題のひとつです。
不動産市場の二極化が進行中
不動産業界は都市部と地方の間で顕著な差異が生じており、市場の二極化が進行しているのが現状です。特に、大都市圏では人口集中が続く一方で、地方では人口減少が加速しており、過疎化が深刻化しています。
人口分布が二極化しているため、不動産市場もエリアによって二極化が進行中です。都市部、特に東京や大阪などの大都市では、高い利便性や経済活動の集中により、不動産価格が上昇傾向にあります。一方、地方では人口流出が続き、不動産価格は低迷しています。
さらに、地方では空き家の増加が社会問題となっており、不動産業界と政府が協力して対策を講じる必要性が高まっているのも事実です。二極化傾向は今後も続くと予測されており、都市部での需要の高まりと地方での空き家対策が、不動産市場の重要な課題となっています。
不動産業界が直面する5つの課題

不動産業界は、社会の変化とともにさまざまな課題に直面しています。ここでは、以下5つの不動産業界が抱えている課題について、その現状と影響を詳しく解説します。
1. 少子高齢化による若年層人口の減少 2. 増加する空き家とその社会的影響 3. 生産緑地の維持に関する問題 4. 人材不足による影響 5. 不動産DX化への遅滞 |
1.少子高齢化による若年層人口の減少
日本の少子高齢化は不動産市場に深刻な影響を与えています。令和6年7月に国土交通省が発表した「住宅市場動向調査報告書」によると、世帯主年齢は30代がもっとも多く、分譲戸建住宅(48.0%)や集合住宅(42.7%)で高い割合を占めています。
つまり、不動産業では若年層、特に30代が住宅購入の主力層です。しかし、総務省の「人口推計」を見てみると、若年層の人口減少が加速化しており、従来の住宅需要を押し上げていた30代も減少傾向にあります。
少子高齢化による若年層人口の減少は今後も続くと見込まれているため、不動産業界において大きな課題です。
2.増加する空き家とその社会的影響
空き家の増加は日本全国で深刻な社会問題となっています。総務省の調査によると、2023年10月1日時点で日本の空き家数は過去最高の900万戸に達し、2018年の前回調査から50.7万戸増加しました。
これは日本の全住宅の13.8%を占め、過去30年間で空き家数は倍増しています。
特に問題なのは、賃貸や売却の予定がなく、別荘としても使用されていない放置された空き家の増加です。これらの空き家は全空き家の42.8%を占め、2003年の32.1%から継続的に増加しています。
核家族化が進む中、遠方に住む親が介護施設に入居したり亡くなったりした後、家族が家を処分することが難しく、空き家のまま放置されるケースが増えています。
3.生産緑地の維持に関する問題
生産緑地は、税制優遇を受ける代わりに、農地や緑地として維持することが求められている土地です。1992年から30年間の税制優遇を受けられた生産緑地は、2022年に指定期限を迎えました。
期限が過ぎると、税制優遇が終了し、土地所有者は税負担を回避するために農地や緑地を売却する可能性があります。その結果、空き家問題も相まって土地の供給が過剰になり、需要が低下するリスクが不動産業の課題です。
4.人材不足による影響
不動産業界における人材不足は深刻な課題となっています。「事業者数」自体は増加傾向にある一方で、日本国内では全体的に人手不足が深刻化しており、若手人材の業界離れが問題視されています。
長時間労働や有給休暇の取得難、売上ノルマ至上主義など、長時間労働や過酷な労働環境のイメージが、若手人材の業界参入を妨げているのも課題です。
そのため、AIやIoTを活用した業務プロセスの効率化など、デジタルツールを活用した働き方改革の推進が求められています。
5.不動産DX化への遅滞
不動産業界のデジタル化は他業種と比較して遅れており、これが業界の競争力低下につながる懸念があります。書類のやり取りに電話や郵送を活用するシーンも多く、多くのプロセスが依然として紙をベースに行われています。
電子契約の普及も進んでいるものの、すべてのプロセスで電子化が認められているわけではありません。また、従業員や担当者のデジタル化に対する知識不足・変化への抵抗感によって、DX推進の障壁になっているケースもあります。
コロナ禍以降は不動産の賃貸借や売買の契約時に、オンラインで重要事項説明(重説)を行える「IT重説」も運用を開始しましたが、他業種と比べて業界全体にIT化の遅れが見られます。
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不動産業界での生存戦略

変化の激しい現代において、不動産業界が生き残るためには、新たな戦略が不可欠です。ここでは、不動産業界での生存戦略として、以下のポイントを解説します。
・不動産業務のDX導入による効率化と生産性の改善 ・顧客ニーズの多様化に応じたサービスの提供 ・海外市場への進出 ・新しいビジネスモデルの構築 |
不動産業務のDX導入による効率化と生産性の改善
人口減少が進む中で、不動産業界の人手不足は深刻化しています。業界の古い商習慣やアナログ作業は業務を非効率にし、長時間労働や高い離職率を招いているのも課題です。
この悪循環を断ち切るためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)を導入し、業務の効率化と生産性の向上を図る必要があります。
アナログ業務を自動化すれば、従来のマンパワーに頼っていた業務を大幅に効率化できます。また、効率化によって生まれた時間によって労働環境を整備し、従業員のワークライフバランスを改善するのも大切です。
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顧客ニーズの多様化に応じたサービスの提供
テクノロジーの進化やライフスタイルの変化に伴い、住まいに対して従来とは異なる価値観を持っている顧客も珍しくありません。多様化する顧客ニーズに応じて、さまざまなサービスを提供するのも、不動産業界における生存戦略として欠かせない課題と言えます。
オンラインでの情報収集が当たり前となった昨今では、物件探しから契約手続きに至るまで、よりスムーズで効率的なプロセスを求める声が高まっています。
具体的には、遠隔地にいながら物件内部を確認できるバーチャルリアリティ(VR)を用いた内覧システムや、ビデオ通話を利用したオンラインでの重要事項説明(IT重説)などが挙げられます。
特に、時間や場所にとらわれずに不動産取引を進めたいニーズへ応じるには欠かせない取り組みです。先述した通り30代などの若い世代が不動産購入の主力層なため、デジタルネイティブ世代へ向けて利便性の高いサービスを提供することで、競合との差別化を図れます。
海外市場への進出
人口減少や空き家問題など不動産業界の課題を解決するために、海外市場へ進出するのも生存戦略のひとつです。日本市場は人口減など将来的な縮小が見込まれる中、持続的な成長を目指すうえで、海外の不動産市場に活路を見出すことは有力な戦略となり得ます。
実際に、経済成長が著しいアジア諸国や、安定した市場を持つ欧米諸国などで積極的に事業を展開し、成功を収めている日系企業も存在します。
しかし、海外での人形展開には現地法規制への対応や、文化・商習慣の違いへの理解、そして相応の資金力や専門人材の確保といった課題も担います。また、人材確保などを含むコストもあり、海外市場へ進出するのは難しいと頭を悩ませる方も少なくありません。
そのようなときは、国内における外国人居住者や投資家をターゲットとした市場に注力するのも選択肢のひとつです。インバウンド需要を取り込むための多言語対応や、外国人特有のニーズに応えるサービス体制を構築すれば、新しい市場を開拓できると言えます。
新しいビジネスモデルの構築
従来の不動産仲介や賃貸管理といったビジネスモデルだけでは、市場の変化に対応し、持続的な成長を維持することが困難になりつつあります。人口構造の変化やライフスタイルの多様化、そしてデジタル技術の浸透は、業界全体に新たな発想での事業展開を求めています。
これからの不動産業界では、単に物件を「売る」「貸す」だけでなく、顧客データや市場データを活用してパーソナライズされた価値提案・新しいビジネスの創出を行うことが重要です。
なかには、不動産を基点とした引越し、リフォーム、インテリア、さらには金融や地域サービスまで連携させた「住生活プラットフォーム」を構築し、顧客との長期的な関係性を築く視点を持った不動産業者も存在します。
変化の激しい現代において、不動産業界もまた、既存の枠組みにとらわれない新しい発想に基づいたビジネスモデルを提供し続けることが大切です。
不動産業界で今後の拡大が見込まれる分野

不動産業界が今後も成長を続けるためには、社会構造の変化や新たなニーズに対応した分野への注力が不可欠です。特に以下の分野は、将来的な市場拡大が期待されています。
・高齢者向け住宅市場の成長 ・住宅リフォーム・リノベーション事業の拡大 |
高齢者向け住宅市場の成長
日本では、「高齢者人口の増加」と「若年者人口の減少」が同時に進んでいます。言い換えれば、高齢者向け住宅市場は今後も安定的な拡大が見込まれます。
特に、65歳以上の人口が継続的に増加している現状においては、高齢者のライフスタイルや健康状態に合わせた住まいへのニーズが高まっているのも事実です。
介護や見守り、生活支援といったサポートを提供するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も、近年の不動産業界では需要が高まり続けている分野です。
また、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、法令等で定められた高齢者専用の居住施設に対する需要も堅調に推移しています。
住宅リフォーム・リノベーション事業の拡大
不動産業界では新規住宅販売に課題を抱えている一方で、既存住宅の改修・改築を手掛けるリフォーム・リノベーション市場は今後も発展すると期待されています。
高齢者向けのリノベーションだけでなく、ZEH住宅をはじめとした断熱性・エコ・バリアフリーなどさまざまな目的に向けた補助金制度が登場しているのも事実です。
近年では国内の人口減少&少子高齢化も相まって、政府は新規住宅供給の増加よりも、既存住宅のストックを有効活用する方針を推奨しています。築年数を経た建物を、現代の生活様式や性能基準(耐震性、省エネ性、間取りなど)に適合するよう改修し、その価値を高める事例が増加傾向にあります。
空き家件数が増加傾向にある昨今において、今後も既存住宅の改修・改良に対する事業が伸びていくと予測されるのがポイントです。継続的に取り組める事業として、住宅リフォーム・リノベーション事業の拡大を狙う不動産業者も増えています。
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不動産業界は、市場の二極化や少子高齢化、空き家問題など、多岐にわたる課題に直面しています。しかし、これらの課題は同時に、新たなビジネスチャンスとも言えます。高齢者向け住宅市場やリフォーム・リノベーション市場の拡大は、今後も続く見込みです。
また、デジタルネイティブの世代へ向けた新しい営業・訴求手法も考慮していかなくてはなりません。多角化していく市場で成功を収めるには、顧客ニーズの多様化に応じたサービスの提供と、業務の効率化が不可欠です。
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